※2019年4月15日にWebメディア「KAI-YOU.net」にて配信された記事です
どこかの誰かが、飲み屋でこぼした言葉に「新しいカルチャーはいつも、ストリートから生まれる」というものがあった。そうだ、新しいカルチャーはいつだって、ストリートから生まれてきた。
若者たちがカウンター・カルチャーの狼煙をあげたのだって、どこかの街の一角だった。誰も立ち入らないガレージだった。コンビニの駐車場にあるパーキングブロックに座って話しながらでも、何らかの文化は生まれてきた。ストリートは何も路上でなくてもいい。
街のクラブや小汚いライブハウス、人の気配のしない居酒屋。きらびやかなタワーのラウンジからだって、カルチャーは生まれてきた。誰もがその場所を、「ストリート」だと認識する限り。
この連載はストリートから浮かび上がるポップ・カルチャーにスポットを当て、いつもとは別の顔をした、さまざまな女性たちの新しい一面を発見していく。連載第一回に登場するのは、今をときめくこの女性。
セクシービデオメーカーである「S1 NO.1 STYLE」に所属する女優、三上悠亜さん。
「元アイドル」という肩書が意味を持たないほど乱立している今現在。かつて大手アイドルグループの一員として活躍し、その肩書を脱ぎ捨ててからもセクシー女優としてトップの地位を築いた稀有な存在だ。
かねてよりファッションに興味を持っていた三上さんは、ファッションブランド「YOUR’S」をプロデュース。日本や韓国でも歌手としてデビューし、テレビドラマにも出演するなど、活躍の場を広げ続けている。そんな三上さんの内面を掘り下げるべく、ストリートスナップに加え、ミニインタビューを敢行。素顔の彼女は何を語るのか──。
アイドル好きの元アイドル 三上悠亜の現在地
華やかな服が好きだから平凡な服じゃつまらない
──ブランドのプロデュースもされている三上さんに、ファッションのこだわりをうかがいたいです。普段はどのように服を選ぶんですか?
三上悠亜(以下、三上) 最近はネット経由で購入することが増えました。Instagramでかわいいショップを探すとか。レディースってサイズ感のないものが多いので(試着をする必要がなく)、そのぶん見つけられる数は実店舗より多いですよね。
渋谷や原宿のような“場所”に買いに行くことから、“ネットで探す”にこだわりが変わっていきました。
──どういう服を購入しているんですか?
三上 かわいい、と思ったもの。自分がかわいいと思ったら値段は見ずに買っちゃいますね(笑)。実は、シンプルな服や一枚で着られるような服を全然持っていないんです。ボーイッシュなものか、デザインが凝っていて街を歩けないようなものが多い(笑)。
かわいいの基準は“キラキラしたもの”だから、そこにはこだわっていますね。最近は衣装もほとんど私服になっているので、逆にプライベートで着る服がほとんどないんです(笑)。
──昔はどうでした?
三上 母が洋服好きで、かなりこだわってくれていたんですね。だから、小さい頃はお母さんの選ぶ洋服を着せられるがまま着ている状態。それが中高になると、自分でも洋服に興味を持ちはじめて、シルエットや色に注目するようになりましたね。
ただ、名古屋に住んでいたのですが、雑誌に載っている服は東京でしか買えなくて。当時は辛かったです。
──そこからなぜ派手な服に?
三上 もともとアイドルが好きだったので、アイドルの衣装が欲しかったんです。普通の人には着られない格好で、写真映えするじゃないですか。そういう華やかな服を着ているとテンションがすごく上がる。逆に平凡な服はテンションが全然上がらなくて(笑)。
──アイドルにハマっていた三上さんが、今ハマっているものはありますか?
三上 K-POPがすごく好きです。特にTWICE。ファッションやメイク、ヘアスタイルも、K-POPに興味を持ってからかなり変わりました。J-POPと比べてMVのクオリティが高いし、予算もかけている。コンセプトがしっかりしているから、見ていて楽しいんですよ。
──コンセプトというと?
三上 K-POPのMVは、色合いや衣装のデザイン、アートワーク全般にすごく力を入れてますよね。出演する本人たちも、スタイルが良くてかわいい。作品として非の打ち所がないんですよ。しかも流行りをちゃんと取り入れていて、今は日本が後追いしている感じです。
──洋楽のトレンドを積極的に取り入れていますよね。
三上 そうそう! K-POP全体が日本だけでなくアメリカでも人気になっていますし、世界的に有名なDJも韓国のアーティストとコラボしていますよね。好きすぎて、最近は月1で韓国に行っているんですよ(笑)。
──うらやましい!
三上 旅行して、K-POPを聴いて、犬と遊ぶのが至福ですね。休みの日、家から出ない日もあれば、早朝からディズニーランドに行くこともあるので、結構極端。一日を満喫するために早く起きることを大切にしている人もいますが、私は睡眠時間も欠かせないと思っているので、夕方まで寝てしまった日でも後悔がないんです。
──さっき「かわいい」の話をされていましたが、ご自身のブランドには「かわいい」と「かっこいい」両方のデザインがありますよね。かわいい、かっこいいをどう捉えていますか?
三上 小さい頃からずっと好きだったのは、ザ・女の子みたいなもの。だけど、仕事をしているとかっこよさも求められるので、最近はかっこいいものも自分に合うんだと思うようになりました。今は昔ほど、かわいいにこだわってはいません。
ブランドはカジュアルでボーイッシュなものもありますし、かわいいものもあります。これって普段の自分と近いのかなって思いますね。表に出る時の自分と、プライベートの自分、みたいな。
──理想の女性像みたいなものはありますか?
三上 いくつになっても女性でいることは忘れたくないと思っています。
女の子で生まれてきた以上は、メイクやヘアスタイルとか、男性にはできないことがたくさんあるじゃないですか。おしゃれもずっとしていきたいし、年齢に合ったスタイリングやヘアメイクを研究して、その歳に一番いい状態でいられたらいいと思います。