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吉沢明歩がセカンドキャリアで大切にしている「自分が楽しくあること」

2003年のデビューから2019年の引退まで、セクシー女優としてトップクラスの人気を誇ってきた吉沢明歩さん。

351本にものぼる作品へ出演するかたわら、恵比寿マスカッツのメンバーとしてアイドルやタレントの活動、俳優としてテレビドラマ『嬢王』など数々のVシネマへ出演。多岐にわたる仕事ぶりから男性のみならず女性の支持も集めてきた。

約16年間、業界のトップを走り続けてきた吉沢さんの“今”に迫ると、「好き」に全力で向き合う姿を見せてくれた。

文・阿部 裕華/写真・高橋 佑樹

タレント、俳優、料理教室……「好き」を軸にしたセカンドキャリア


――吉沢さんが引退してから、もう3年が経ちます。

吉沢明歩(以下、吉沢) あっという間でしたね。でも引退して1年経たないくらいでコロナ禍が始まってしまい、あまり表立って大きな活動はしていないんですよ。「セカンドキャリアはこれ!」と軸として明言できる活動はしていないので、お話的にはちょっと弱いかもと思っています(笑)。

――いやいや! 現在はタレント、俳優、YouTube、美容系クリニックのカウンセラー、料理教室……多岐にわたりお仕事をされているじゃないですか。

吉沢 ファンのみなさんに喜んでほしいですし、男性だけではなく女性向けの発信もしたいという思いから、いろいろなことをちょこちょこやっている感じです。
俳優業は以前のお仕事の延長線として続けていきたいと思っていたことで、美容や料理は「好き」を仕事にしたいと思って始めたことですね。

――俳優業は2021年5月に上演された『星守りのスラム』で舞台デビューを飾りました。初舞台はいかがでしたか?

吉沢 すごく緊張しました(笑)。映像作品とは発声の仕方が違いますし、生でのお芝居なので失敗したくない思いもあって。そんな緊張感を保っている中でお芝居をすることは、とても良い刺激になりました。

――セクシー女優時代にもテレビドラマやVシネマへ出演されていましたけど、やっぱりお芝居をするのがお好きなんですか?

吉沢 好きです。セクシー女優のお仕事の中でもドラマものの撮影は好きでしたし。純粋にお芝居をするのは楽しいです。
また、舞台をやったことで私が表に立つ姿をファンのみなさんは待っていてくれているんだなと感じたので、舞台に限らずお芝居の仕事は定期的にやっていきたいと思っています。

――舞台と同じくらいのタイミング(2021年3月)から「吉沢明歩のあっきークッキング教室」の開催もされていますよね。

吉沢 セクシー女優を引退してから料理教室やパン教室に通っていたんですよ。そこから「好き」を仕事にできたらいいなと思うようになって。ほかにも健康や美容には「食」が大切だと気づいたのもあります。

――料理教室のレシピはご自身で考案しているそうで。

吉沢 そうなんです。私の料理教室に来たことをキッカケにおうちでも料理をつくってほしいので、基本の家庭料理をベースに和食・洋食まんべんなくレシピを考えています。特に男性の参加者が多いから、難しくないつくり方をレクチャーできるように意識していて。メインに合わせて数品の副菜も考えなきゃいけないので、毎回大変です(笑)。

でも、部活みたいにワイワイした空間でお料理をつくるのが楽しくて。みなさんの包丁使いが様になってきていたり、てんてこ舞いになりながらも「次どうしたらいいですか?」と質問してくれたり、成長を感じる瞬間はすごく嬉しいです。

セカンドキャリアは考えずにセクシー女優を引退

――セカンドキャリアを決めてから、セクシー女優を引退したんですか?

吉沢 決まっていない段階で辞めました。私の場合はセクシー女優としてとても長く活動してきて、ずっとそこに全集中してきたんですよ。だから、引退する時も漠然と「タレントや俳優業は続けていきたい」と思いながらも、大部分は「一旦お休みをいただいて、自分がやりたいことをゆっくり考えよう」と。
というのも、AVの仕事が大好きで頑張っていたから趣味が特になかったんですよ。引退して趣味を見つけて、いろいろ挑戦していくうちに「好き」を軸に活動の幅を広げていった感じですね。

――そこまで好きだったセクシー女優の仕事を引退するというのは、相当な覚悟だったんだろうなと……。

吉沢 好きで続けてこられたものの、自分の中でどうしても譲れないものもあって。それをNG項目として解禁するかという話しになってくるわけですけど、私の中では解禁の選択肢がありませんでした。解禁するくらいなら、この仕事にピリオドを打つ方向で進めばいいかなと思ったんですよね。自分としてはこれでも結構引き延ばして頑張ったなと思っています(笑)。


――引退を考えているタイミングで、ご自身の今後について誰かに相談はされていましたか?

吉沢 常に事務所の社長やマネージャーに相談していました。事務所の人たちはみんな「次のステップに進みたい気持ちも理解はするけど、必要とされている間はもう少し頑張ってもいいんじゃない?」とセクシー女優でいることを応援してくれていたんですよ。
そんな中でも「やっぱり引退して別の道に進みたい」と私が決心した時、社長から「美容クリニックでも勤務ができるようにと思って美容クリニックをつくった」と言ってくれたんです。それが今、私が週に1回カウンセラーとして働いている場所です。

――それはすごい。

吉沢 本当かどうかは分からないですけどね(笑)。でもそれはすごくありがたかったです。私が引退した後のことも社長は考えてくれたんだなと、より信頼しました。

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