ひとつの季節を終わらせようとしている街は、なんだか静かで、君はその静寂を切り裂くように急に走りだす。
驚いた僕の顔を見ると、君は笑って、それから何もなかったような顔で、また隣を歩き出した。
泣いたり、笑ったり、怒ったり、天気みたいにくるくる変わる君の表情を眺めながら、来年の夏はどこにいて、どんな気持ちでいるだろう、とぼんやり考える。
また暑いとか文句を言いながら、うなだれている君の姿を想像していると、名前を呼ばれて、顔を上げたら君がそこにいた。
「何へらへらしてんの」と君が笑うから、黙ってその小さな手を取る。
もうすぐ日が沈み、街は一日を終わらせようとしている。
僕たちは、同じようにいつもの道を歩く。