Story.3 小野六花
「次はもう少し、うまく愛せるかな」
ニコッと笑えばみんなが喜ぶ
愛されるのってそんなに難しいこと?
甘やかな「スキ」をくれるなら
すこしだけ返してあげてもいいよ?
行きたい時に行きたい場所へ行ける
そんな身軽さを纏っていたいの
すべてを独占しようなんて
ちょっと甘いんじゃない?
ただただ、自由でいたかっただけ
誰にも邪魔されることなんてなく
本能のまま、ただ…
私まだ 無垢なままの少女でいたかったから
たくさんの刺激に従順でいただけ
喉から手が出るほど欲しいものなんてなかった
あの日、あの部屋から
あなたがいなくなっちゃうまでは
夢中になったのはいつから?
誰かのために流す涙の味って
全然甘くないのね
「俺よりもっといい人がいるよ」
ってそれ、本当に私のための言葉?
ずっと誰かの隣にいたけど
今がいちばん空っぽかも
好きなように生きていたかった
だけど好きな人とも
生きてみたかった
「ひとりでもさみしくなんてないって」
涙でにじむ街角の景色と
耳に入った思い出の曲
私に涙は似合わない、だからこそ
あなたの隣で笑ってたかった
さみしくなんてない
…なんていったら、嘘になっちゃうね
一段高いところに置かれたシャワーは
背伸びしたって届かない気がした
あなたの大きさに触れてはじめて
自分の小ささが分かったよ
「だいすき」とか「キミだけ」とか
空っぽで言えるセリフ
愛されるポーズ取るのも簡単
それはそれでちょうどいい
スピーカーから流れてきた 思い出の曲の続き
「今日も 明日も 明後日も
ねえキミのね 笑顔が好き」
誰より鈍感だったのは私
痛みも好きの気持ちも
なかったことにしてた
今さら気づいたってもう遅いけど
いつか本当の気持ち
伝えられたらいいな
過去は戻らないから
犯してしまった過ちも
ぜんぶ私の中で生きていくよ
次はもう少し、うまく愛せるかな
自分の心に正直になって
今度こそは本当の恋がしたい