「”夏の永遠”って知ってる?100年に一度、神さまの気まぐれで選ばれた人は、その夏に永遠に閉じ込められちゃうんだって」
君の言葉の意味を考えながら歩いていると、「ねえさっきの話、信じてる?」と、突然振り向いて君が尋ねた。
「あれね、ぜんぶわたしが考えた嘘だよ」そう言って君は笑った。
「だけど、もしも永遠に閉じ込められるとしたら夏がいいな」
そう呟いた君の声は蒸発するみたいに、空気に溶けて消えた。
君はあの夏に閉じ込められてしまったのかもしれない。ふと、そんな風に思うことがある。
あの日の君を思い出そうとすると、着ていたワンピースのやわらかい青が、やけに記憶の中で鮮明に蘇る。