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大久保佳代子インタビュー【後編】50歳になった大久保佳代子さんが考える「第二の人生」

テレビで見ない日はないほど、超人気タレントとして長年活躍してきた大久保佳代子さん。でも、そろそろ、ぼんやりと「第二の人生」について考えはじめたのだとか。それは一体、どのようなものなのでしょうか――?

文:廣田喜昭 写真:佐賀章広 インタビュワー:山根愛美/廣田喜昭
ヘアメイク:天野良美 スタイリスト:野田奈菜子

37歳でリウマチを発症して

――テレビの第一線で活躍を続けられている大久保さんですが、ご多忙の中でどのようにご自身の体と向き合ってこられましたか?

大久保佳代子(以下、大久保)私は37歳ぐらいでリウマチを発症して、関節が痛くなって、もう13年ぐらい、定期的に病院に薬をもらいに行って毎日薬を飲んでたりして。まあまあちゃんとした病気をもらったので、もう全力でガーッていうのはちょっと無理だなっていうのもそこで悟り、無理をしなくなったんですね。

――37歳の時に発症して、それから少しずつ痛みが増している感じですか?

大久保 ううん、発症した時が一番ひどくて、ペットボトルを開けられなくて歯で開けたり、人混みでちょっと接触するだけで関節にガンッて響くから歩くのが怖かったりして。でも、通っている病院にいい点滴があったんですよ。1本5万円ぐらいするやつ。


――いいお値段ですね。

大久保 そうなんですよ。まぁありがたいことに私はちょっと余裕があったので、それをやったらほんとにしんどい痛みは取れて。そこがピークかな。あとは飲み薬で付き合ってますけど、痛い時は痛い。だから鎮痛剤飲んだりはするけど。

――今のどのような状態ですか?

大久保 今はもう首が全然回らない。ラジオ体操で首回してくださいなんて絶対できない。でも、これが自分の体だと思ってるから、今日はいつもより調子いいと思うとちょっと気持ち晴れるし、今日は痛い日だなと思ったら鎮痛剤飲んじゃえとかね。だって、体は間違いなくガタ来るから。毎日、「痛い、痛い、痛い」って言いながら楽屋にいますけど、もう誰も心配しなくなりましたよ。

――そんな大久保さんのイメージは一視聴者としては全くありませんでした。

大久保 うん、関節をさすりながらテレビに出てたら嫌だよね。病気もあまり表だって言ってないけど別に隠すことじゃないし、足枷じゃないけど、そういうものが1個できたほうが諦めもつくし。もっと頑張ろうというのにも「いやいや、しょうがないよ。ちょっと体が痛いんだから」って自分でストップできるし、いい付き合い方をしているかなと思う。

いとうあさこさんを見てると、彼女は自分でも言ってるけど、気力だけでバンジー飛んだり崖登ったりしてるから、そのほうが絶対いつかガタッてくるよって言って。実際ガタガタらしいんだけどね。51歳ですよ、あの人。

――大久保さんと同年代の女性の方は更年期障害に悩む方も少なくないと思いますが、大久保さんはどうでしたか?

大久保 それがわからないんですよ。更年期障害が来るとしたら、まさに今だとは思うんだけどね。日常的に落ち込むのは落ち込むけど、20代30代の時から仕事でうまくやれなかったり滑ったりしたらガンと落ち込んでたから、これがいつものなのか、それとも更年期から来る落ち込みなのか、ちょっとわからなくなってきていて。だから今からかもしれないですよ。

――もし明確に更年期障害とわかったらどう対処されますか?

大久保 まあ一応、婦人科行ってホルモンとか、何かもらうとか、なるべくそういうのを調べて、頼ってやり過ごしたいね。この歳になって「イライラしてるよね」「また何か怒ってるんだけど」みたいなのは一番格好悪いもんね。

あぁ考えただけで嫌だ。「歳だからしょうがないよ」なんて言われたらさ。甘えるところは甘えていいんだろうけど、できれば感情の起伏がガーンってならずに更年期障害の時期を乗り越えたいよね。

第二の人生をどう生きる?

50代で「第二の人生」を考える方がたくさんいます。光浦さんはカナダに留学されましたね。

大久保 光浦さん、凄いなと思って。リモートでラジオはやってるけど、仕事はほぼできない環境にしてね。留学するにはその環境を受け入れるしかないから焦りもそんなにないだろうしね。あれはあれで勇気よね。

本人は、「いろんなタイミングが重なった結果、ドンと行けた」って言うけど、それにしてもだよね。快適そうだから、行って良かったんだな、うらやましいなと思うけど。

――うらやましいですか?

大久保 うん。ただ、1年なんてあっという間だからさ。何にも変わらずに戻ってくる可能性もあるじゃん。でも、本人次第では延ばしてもいいわけだから、それはそれで選択肢が1個広がるよね。そのぐらい思い切ったことしない限りは、環境ってなかなか変わらないよね。

――大久保さんの第二の人生は?

大久保 私が一番嫌なのは「しがみついてる感」と、だいぶ芸歴も年齢も上だから「気を使われること」なんですよ。テレビで見ていて「この人、ちょっと痛々しいな」って思われるのは避けたいから、そうなって消えていくんじゃなくて、ちょっと前に切り替えて、「バラエティ出ません」とか、そういうチェンジをしていかないとズルズルは行きそうな気がするんですよ。

何か細々と仕事はできそうだから、それをよしとするのか。そういうことはぼんやりとは思っていて、意外と数年の話だと思うから具体的に考えなきゃいけないなって。

――何となく考えているプランはあるんですか?

大久保 ふんわりと今一番見えているというか、これかなというのは、やっぱりワンちゃん、ネコちゃんが好きなので、その子たちのためになることですね。ガッツリやるのは想像つかないんだけど、いろいろ考えたり。

そのためには庭があるような一軒家に住みたいな、でも一軒家は都内だとあれだから神奈川や千葉でもいいかなとか。なんなら実家に戻って愛知県のほうでもやれるなとか、そんなことはたまに思ったりしてます。

――「自分のこと」よりも、「ワンちゃん、ネコちゃんのため」なんですね。

大久保 そうなのよ。ある程度、頑張って働いてお金ためて、自分のために海外旅行に行ったりもいいけど、その楽しさって限度が知れているというか、何となくもうわかるというか。自分のためにおいしいもの食べたり、おいしいお酒飲んだりは、もうだいぶ知っているから、これを超える何かあるのかなって。

それよりも人、私の場合は犬のためになるんだけど、他者に対して何かやってあげるほうの充実感が欲しくなってきそうな気がするんだよね。ワンちゃん、ネコちゃんのために何かすることは大変なことも絶対あると思うけど、そういう感情を持って生活していったほうがいい気がしていて。

――自分のために」はある程度もうやってきたから。

大久保 何ですかね。自分と向き合うのに疲れたっていうのもあるんですよね。歳を取ってきて、周りを見れば、女性はお母さんになって家族のために生きていたりして。私はそういうことをやってこなかったけど、他者のために何かをしたいっていう欲求はあるんだと思うんですよ。

――ふんわりではあるけど、第二の人生を考えているんですね。

大久保 考えておかないと、気付いたら60になって、「あらら、何か私ちょっと痛い感じに今なってないか」っていうのだけは避けたいからね。ほんとはパートナーができてね、一緒に暮らしてってなると、また環境ガラッと変わっていいんだけどね。

老化は待ってくれないから、見た目も体も頭もそうだから、動けるうちに、いろいろ考えられる時期に考えておかないとね。怖いね。

気持ちを落ち着かせる方法


――不安になったりしたときに、大久保さんはどうやって気持ちを落ち着けたり、整理したりしますか?

大久保 時間が経てば気持ちが落ち着くなっていうのが見えてきましたね。気持ちが乱れるときって、仕事で落ち込んだり、人間関係で何かあったりだと思うんですけど、「今日のこの落ち込み方で、この鬱々としている感じは2日あれば治る」とか、わかるようになってきて。

だから、何かをして落ち着かせようとかはないかも。ほんとにグチグチ何かを言いたいなっていうときには、それこそあさこさんを呼んで聞いてもらうっていうのはやってますけど。それ以外だと「これは6時間コースだ」と思って、待っていると治まりますね。

――それはずっと昔からですか。

大久保 いや、ここ最近だと思う。40代中盤ぐらいからですね。昔のほうが長引いて、ずっとグチグチと、アスファルトに向かって「死ね、ばかばかばか」って言いながらよく歩いてましたけど。それは自分に対しての言葉ね。

今はそんなにアスファルトに向かって言うこともないし、いいのか悪いのか、感情が鈍くなってるのか、昔ほどすごい落ち込むとか、すごいうれしいっていうのがないのかもね。落ち込みました、はいはい、でもこの落ち込み知ってるみたいな。

――気持ちが自然と落ち着くまでの時間は映画を見たり?

大久保 私、ドキュメンタリーしかもう無理かもなあ。フィクション、作り物は作り物として見ちゃうとこあって。あと、やっぱり動物のけなげな姿。それはもうね、ほんとに気持ちがぐっとなりますね。

――どんなドキュメンタリーを見られるんですか。

大久保 BBCがやってるアルコール依存の人の話や整形依存の話。それでも生きていこう、人間ってやっぱり落ちるとこまで落ちるんだよな、やっぱ欠陥があるのが人間だよなとか、いろいろなことを思って。自分も行く末はこれかもよと思いながら、そんなものを見てますね。

――本は読みますか? 川村エミコさんと鈴木紗理奈さんとやられているYouTubeで、大久保さんの部屋が映っていますが、後ろにたくさんの本がありましたよね。

大久保 あれね。『STORY』という女性ファッション誌で書評を書いているから、毎月それで1冊は読んでいて。他に、自分の娯楽で読みたいときは、松尾スズキさんが好きなので松尾スズキさんのエッセイが出たらちょっと買ったり。あと、最近は、意外とマンガを読んでますね。

――大久保さん、マンガのイメージないですね。

大久保 マンガはコロナ禍で読み出したんです。「ノンストップ!」に行って、バナナマンの設楽さんが「このマンガ、面白い」って教えてくれて。設楽さんとか、私が面白い人だなと思っている人が「面白い」というものは間違いないから、そうすると買っちゃうね。今は電子書籍でダウンロードして読めるから、1日1冊ダウンロードして2時間かけて読むとか。

――大人買いはしないんですね。

大久保 大人買いしない。700円いくらかを毎日買って。最近だと、設楽さんお勧めだったのは相撲の漫画で『バチバチ』(秋田書店)ね。あとは、『血の轍』(小学館)っていう毒母のめっちゃ怖い話。その作者の作品が面白いなと思ったら、その人の別の作品を読んだりしてますね。マンガは小説より身軽に軽く読めるし。

――ありがとうございました。最後に、この記事を読んだ同年代の読者に対してメッセージをお願いします。

大久保 メッセージね。ちょっと振り返ったら体の不調だったり、辛気くさいおばさんの話ばかりと思いつつも、50ってまだまだ動けるから。まあ日にはよりますよ。体の不調を訴えるおばさんはおばさんで面白いと思うし、かわいいけど、私はできるだけ踏ん張って行こうと思うんで、一緒に踏ん張りましょう!

これからも変わらずにテレビで活躍する大久保さんの姿を見ながら、この記事を読んだ方は、それぞれの「第二の人生」を考えるのかもしれません。「今日が一番若い」と思って、一緒にまだまだ踏ん張りたいですね!

そして最後に大久保佳代子さんからメッセージ頂きました。

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「芸能界で活躍を続けてきたなかで、改めて人生を振り返ってみて思うことは何か?」もしくは「紆余曲折を経て40を過ぎてから大ブレイクした経歴を持つ彼女が、改めて人生を振り返ってみて思うことは何か?」

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