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COVER MODEL Vol.15 辰巳シーナ「私なりの方法で、困っている人たちの助けになれたら」

SERIES -COVER MODEL

場所や世代やジェンダーにとらわれず、あなただけの自由な明るい未来へ向かえるように応援する――

fempassは、そんな気持ちを込めたメディアです。

カバーモデル連載では毎月、豊かな感性と多彩な視点で生きていく人々の姿をお届けしていきます。

第15回目は、モデルからキャリアを積み上げ、近年は占い師/カウンセラーとしても活動する辰巳シーナさん。

どんなやりがいを感じ、どのように仕事の幅を広げているのかを伺いました。

文・菅原さくら/写真・羊肉るとん

辰巳シーナ プロフィール

1993年3月14日生まれのタレント。2015年から恵比寿マスカッツのメンバーとして活動を始める。2020年6月にカウンセリング&占い「相談やさん」を設立。

 

「現状でちゃんと幸せ」と考えるようにする

――まずは、辰巳さんのこれまでについて伺いたいです。芸能活動をはじめた経緯は?

辰巳シーナ(以下、辰巳) 品川駅でスカウトされたのがきっかけで、最初の事務所に入りました。当時はあまり目標もなかったから、いただいたお仕事にかたっぱしからチャレンジしていったんです。

でも、お芝居では自分の性格でめんどくさいと感じていたところを役づくりに活かせたし、グラビアでは身体の線を出す写真の美しさに気づいた

思いもよらない、たくさんのいい経験をさせていただきました。

――さまざまな実績を積むうちに、お仕事との向き合い方は変わってきたのでしょうか。

辰巳 2年くらい経ってからは「こうしたらもっとよくなるかも」「観てくださる方々のために頑張ろう」という気持ちも芽生えてきて、仕事に熱が入ってきたと思います。

とくに“私のファン”なんて存在ができること自体に、すごくびっくりしました。応援してくださる方々のおかげで、生まれてきた意味があったなって思えます。

でも、私はこの業界に向いていないって、常々感じてもいるんですよね。地味だし、人と関わるのも得意じゃないし、もっと自信を持って堂々とできたらいいのになっていつも思っています。

――悩んだときには、どんなふうに気持ちを立て直しているんですか?

辰巳 悩むのは自分からの「ちょっと休憩しなさい」というサインだととらえて、下手に動かないようにしていますね。

「自信」については悩みすぎて調べまくったことがあるんですけど(笑)、それでゲシュタルト崩壊したのか、最近は「ないならないでもいいのかも」と感じるようになってきました。

あまり思い詰めず、おいしいごはんを食べて暖かいところで眠れるだけで、現状ちゃんと幸せだなって考えるようにしています。

人付き合いの大切さを知って、新たな一歩を踏み出せた

――お仕事のやりがいは何ですか?

辰巳 この世界に入って、自分自身を認めてもらえたことはとても新鮮でした。

たとえば、アイドルグループ「恵比寿マスカッツ」に入ってハードロックなソロ曲をいただいたとき、「これはシーナちゃんにしかできない」と言ってもらえて。

歌もダンスもバラエティも、団体行動も苦手だから、恵比寿マスカッツのオーディションを受けるときは悩んだのですが……いまでは、本当に入ってよかったと思えます。

苦手だった人付き合いも、グループ活動を通じてすごく大切だなって思えるようになりました。ライブもバラエティも、お互いを信頼しないと成り立たないんですよね。

メンバーだけでなく、演出家のマッコイさんもありがたい存在です。多くを話さずとも私のことを理解してくださって、「そのままでいいから」個性を活かしてくださいました。

――個性といえば、近ごろでは占いやカウンセリングのスキルを活かして「シーナ先生の相談やさん」といった活動もされていますね。

辰巳 おじいちゃんが占い師だったので、昔から人の生年月日で性格を占って、付き合い方の参考にする癖があったんですよね。

水商売をしていたときにも、占いはコミュニケーションツールになりました。そのうちにもっと技術を磨きたいと感じて、西洋占星術やタロット、四柱推命、カウンセリングの学校に通ったんです。

――自分の生活に役立てるだけでなく、人のために活動しようと思ったのはなぜですか?

辰巳 前に心を病んでしまったとき、通っていたカウンセリングが合わなくて、逆に病状がひどくなったことがあるんです。もう、そんな思いをする人を出したくないなと感じて……

私なりに占いとカウンセリングを組み合わせて、困っている人を助けたいと考えるようになりました。

――そんなお店をはじめてみて、いかがですか?

辰巳 すごく楽しいし、やりがいを感じています! 私と同じように家庭環境の複雑な方が相談に来てくださったり、「言われたとおりに動いてみたらうまくいきました」なんて報告をいただいたりすると、本当にうれしいです。


それに、私自身にも変化がありました。モデルやアイドルの仕事では、イベントひとつ取っても受付や運営はすべてスタッフさんがやってくださって、ファンの方が来てくれて、私は出るだけでした。

でも、いま相談やさんの問い合わせ対応やお金のやりとりなんかを自分でしていると、いままでのすべての仕事にはこういう裏方の積み重ねがあったんだなって、周りへの感謝が倍増しているんです。本当にありがたいことですよね。

人間の身体って、きれいなんだな

――これからは、どんなふうに活動していく予定ですか。

辰巳 「シーナ先生の相談やさん」はようやく土台ができてきたので、引き続き頑張りたいです。いまはコロナ禍の影響でオンラインばかりだけど、対面相談の機会も増やしていきたいですね。お酒が入るとリラックスして話せるだろうから、スナックバージョンも考えています。

それから、趣味程度ですが作品撮りもしたいですね。私、グラビアをやって、人間の身体ってきれいなんだなって思えたんです。自分の身体をまじまじと見る機会なんてそれまでなかったけど、股間のラインとかが結構いいなって(笑)。

身体そのものは貧相なんですが、だからこそこの身体がもっときれいに見える衣裳を、自分でプロデュースしたいと思っています。すでに撮影も始めているので、楽しみにしていてください!

――それは、とっても楽しみです! 最後に、自分や将来をイメージして思い浮かべる色を教えてください。

辰巳 一番好きなダークグレーですかね。昔は黒いお洋服ばっかり着ていたんだけど、最近は少し気持ちがやわらかくなったのか、グレーを選ぶようになりました。

いまの私には黒だと暗すぎるし、白だと明るすぎるから、この色が一番落ち着くんです。カラフルな色は苦手だけど、さわやかで知的なブルーには憧れがあります(笑)。