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言葉にできないこの衝撃『バーフバリ』ねっちょりレビュー#2

SERIES -ねっちょり映画レビュー

「fempass」をご覧のあなたのおこもり需要に合うことを願いつつ、おすすめ映画を独断と偏見で、ゆるっと紹介していくコーナーです。

ねっちょりじめじめしたタイプの愛の星・うお座ガール(ぺちこ)が、ねっちょりじとじと読み解いたレビューですので、何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

文・ぺちこ/イラスト・土屋みよ

ぺちこ プロフィール

うお座の星の下に生まれた弩級のロマンチスト。“運命”とは、一本の時間軸上にあると考える淑女。つまりパラレルワールドモノは苦手。とか言ってた矢先に某ヤンキーリベンジ漫画にどハマり中。「彼女」と書いて「ヨメ」と呼ぶタイプの男性が苦手なはずだったのに…?!次回、「助けてって言えよ!ドラケン!」おたのしみに

第2回はこちら!

『バーフバリ』
監督:S・Sラージャマウリ
脚本:S・Sラージャマウリ
主演:プラバース、ラーナー・ダッグバーティ

伝説誕生
公開日:2015年7月9日 159分
王の凱旋
公開日:2017年4月28日 168分

<あらすじ>
幼い頃、川で命を落とす寸前だったところを見知らぬ村人に助けられ、シヴドゥと名付けられた主人公。シヴドゥはやがてたくましい青年に成長し、戦士となる。さまざまな人との出会いを通して、自分の本当の生い立ちが明らかになっていくー。古代インドの神話的叙事詩『マハーバーラタ』を元に制作された、『伝説誕生』と『王の凱旋』の2編からなる歴史アクション映画。

私が今まで無宗教だった理由はここにあったのだなあ ぺちお

え? あなた、まだ観てないんですか?
口コミが口コミを呼び、異例のロングラン上映となったまごうことなき超名作、あの『バーフバリ』を

「これからはハリウッドじゃなく、ボリウッドよ。」と、かの大スター、レディーガガは言った。(正確にはバーフバリはボリウッド(北インド)ではなくトリウッド(南インド)作品)

それくらいにインド映画のエンタメ性には目を見張るものがあるということは、ご存知の方も多いだろう。

「ムトゥ 踊るマハラジャ」に始まり数年に一度、日本でもインド映画が話題になるサイクルがある。そのn度目のサイクルでやってきたのが、そう!!!!

バーフバリ──・・・

インド史上最大の制作費をかけた本作品。3時間近くあるというのにインド人の3人に一人が観た結果、インド映画史上歴代最高興収を達成し、世界興収でも300億越えを記録。

でっかなインドにおいて、文化の中心は基本的には北インド。南インドの俳優ばっかりの、いわばローカル作品である本作がインド全土に広まるのは異例中の異例なのです。

日本でも当初ひっそり公開されたものの、口コミが口コミを呼び1年以上ものロングラン上映を達成し、「なんか日本でもめっちゃ人気らしいよ」つって挙句の果てにはなぜか主人公バーフバリ、ではなく嫁の従兄という絶妙なポジションのクマラが来日、トークショーまでしてくれた。

「とにかくおもしろいらしいよ」と、信頼のおけるエンタメ好きの友人から情報を仕入れた私は「まぁどうせ歌って踊るんだろうし、楽しそうだから観るか〜??」と軽い気持ちで「王の凱旋」から挑んでしまったが最後、いや始まり

私は何に触れたのか
これが神で これが神話で 創世記なのか?

あらすじを簡単に言うと、バーフバリ父子の二代にわたる、大国マヒシュマティの王位継承争いのお話。あいつが王か、俺が王か。お前の全ては俺のもんであの女も俺のもん。
もうちょっと詳しく言うと、ライオンキングにアラジンとムーラン足してからタイタニックとキングダムに少年ジャンプの全てを混ぜてマーベルっぽくして作った、神様のPV。もう超てんこもり。そんなてんこもっちゃうの? そんなてんこもっちゃって全然喧嘩しないの?

国母として君臨し、民を愛するシヴァガミ。その実の息子でありながら自己愛と狂気、暴力性のみで大人になったバラーラデーヴァと、
甥でありながら実の子として育てられ、奴隷も国民も分け隔てなく愛し、もう見るからに王の素質ぷんぷんのバーフバリ。この兄弟の2代にも及ぶ戦いだ。

まずしょっぱな。川から手だけが出てて、その上に赤ん坊が乗せられためっちゃ怖いものが川の上から流れてくる。

は?
真面目? ちょっとふざけてる?

荒ぶるゾウを素手でたしなめたり、めちゃくちゃに濃い顔がドドーン!とアップになる度なぜかちょっと送風されてて髪の毛なびいてドラマチックだったり、びっくりしちゃった時のシヴァガミ様の目つきがあからさまだったり、まじで突拍子もなく人の首斬ったり
そんなふざけてるのか真剣なのか分からない演出を5分に1回はぶち込んでくるため、
「あそこ面白かったよね」なーんて会話はできない。

つっこみどころ多すぎて忘れちゃうので。怒涛の超展開なので。目離したら取りこぼすレベルで細かくボケてくる。いや魅せてくる。

私のお勧めは『王の凱旋』で、一人で戦うデーヴァセーナ(ヒロイン)のバトルシーンで突然現れたバーフが、こちらに向かって矢を放ち、私のイヤリングにあたってシャリーーーーン・・・と恋に落ちる音がするあのシーンです。クセ。

そんなクセだらけの演出なのに、いつのまにかバーフバリなしじゃ生きていけなくなるから不思議だ。

バーフは目に入る全ての民を、命を懸けて守り、妻を愛し抜き、バラーラデーヴァによって理不尽に地位を奪われ左遷をされてもなお、誰をも責めず己であり続けた。死を迎えるその瞬間まで、とにもかくにも「漢」なのだ。

母から教わった正義と、自分の思う正義に揺れながらも愛と信念を貫き、宿命を受け入れ、その慈愛と強さで全宇宙の真理となりたもうたバーフ。あなた方は学ぶだろう。愛とは。愛することの覚悟とは。いつまでもママママママママ言ってるマザコンのてめえらとは違うのだ。なーにがイクメンだ大馬鹿野郎。

民衆がバーフにメロメロになって、地響きで玉座が揺れるくらいに「バーフバリ!バーフバリ!」と大騒ぎする際、こちらも思わずこぶしを突き上げてしまってる。マヒシュマティの民意に乗せられちゃう。エキストラのインド人一体何人使ってるんだ(答:5000人)(東京ドーム10個分)(いや分からん)。流石人口世界一の成せる業。エンターテイメントってこういうこと。天下のレディーガガの言う通りだよ。

愛すべきキャラクターたち

魅力的なのはバーフバリだけではない。本作は脇を固めるキャラクターたちもまた強烈に愛おしいのだ。

奴隷として雇われているがバーフの父親代わりであり、唯一無二の“バディ”であるカッタッパ。

その絶世の美しさからバーフに一目ぼれされ嫁ぐも、横から奪おうとするバラーラデーヴァに翻弄される隣国の姫、デーヴァセーナ。ちょっとよくわかんないくらい気強い。

そのデーヴァセーナの従兄でポンコツ、でも憎めない作中で唯一の癒しパートを担うクマラ。めっちゃ可愛い。製作陣も全く予想だにせず日本人ウケした結果クマラ一人で来日しちゃうくらい人気。可愛い。

みんな魅力的なのだが私はカッタッパを推したい……。否、推しだとか担当だとかガチ恋だとか夢女子だとか、そんな俗世的な扱いをしていいのだろうか。

ただ、心にバーフがいる。マヒシュマティのみんながいる。それだけでなんと幸せで、日々が鮮やかに色づくことか。

私の死んだ心を蘇らせたのだ、そうか、やはりバーフは神なのだ。私がウン十年間、無宗教でいた理由。全てはバーフに出会うためだったのだ。
貴方はバーフを観ることで神と対峙し、また“真の男”たるものを初めて理解するのだ。

因みにこれは誇張でも作り話でもなんでもなく、近所に住むインド人に「バーフ観たよ」って言ったら、胸元で手を合わせながら「baahu bali・・・・」って言われた。やっぱ神だった。

ここまできてもまだ「とは言っても長いしよくわかんなそうだし…」と宣うやつがいるのだろう。

「『伝説誕生』から見たほうが良いの?」とおろおろするやつもいるだろう。この分からず屋!良いからとっとと観るのだ! どっちから観ても大丈夫なんだよ観たいほうから観ろよ!! そんなんだから王になれないんだ!!!

『王の凱旋』の続きが『伝説誕生』で『伝説誕生』の続きが『王の凱旋』なんだよ!!! 一生観てろ!!!!
そもそも2021年にこんな話をしているのがおかしい。既に全人類が履修しているべきものだ。シヴァガミだったらこう言うよ。「この宣誓を法と心得よ」 ってね──……。

長々書いてしまいましたが言葉にできないこの衝撃に、これ以上野暮な解説をしたくない、なぜなら神は感じるものだから……。

ジャイ、マヒシュマティ

(なんで今更バーフのレビューかというと、初めてサブスクで「完全版」の配信がされることとなったのです。JAIHO。この機会にぜひ)

大人が引きずる映画『花束みたいな恋をした』ねっちょりレビュー#1

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